美容外科の費用は医療費控除の対象になるか?

美容外科で整形を受けたときの費用は、医療費控除の対象になるのでしょうか?原則と例外を詳しく解説します。

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原則として美容外科の整形に医療費控除は適用されない

日本には医療費控除という制度があります。1年間で支払った医療費の総額が10万円を超えた場合、確定申告をすれば、一部のお金が還付金として戻ってくるシステムです。病院や歯医者さんで治療を受けたときの治療費はもちろん、処方箋をもとに薬局で薬を処方してもらったときの費用、またはドラッグストアなどで購入した風邪薬代、さらに通院に使ったバス代や電車代など、いろいろなものが医療費控除の対象となります。

ところで、美容外科も病院の一種。整形を受けるということは医療行為を受けるということなので、支払ったお金は医療費控除の対象となっても良い感じがします。
しかしながら、残念ですが美容外科の施術に支払った費用のほとんどは、医療費控除の対象にはなりません。あくまでも、「病気やケガの治療」を目的としたコストについてのみ、医療費控除が認められているからです。

たとえば二重埋没法。一重から二重にする施術ですが、一重という状態は病気でもケガでもありません。つまり、二重埋没法の目的は「治療目的」ではなく「美容目的」となります。「美容目的」の医療行為に支払ったお金は、医療費控除の対象とはならないのです。

美容外科の施術でも医療費控除が認められる(かも知れない)例

美容外科で受けた施術のすべてが医療費控除の対象にならない、というわけではありません。美容外科での施術が「治療目的」と認められる場合には、医療費控除の対象となる可能性があります。
いくつかの例を見てみましょう。

眼瞼下垂手術

加齢などの原因で、上まぶたが開きにくくなる状態のこと。美容目的で手術を受ける人もいますが、眼瞼下垂の状態は「視覚の健康状態を損ねている」とも判断できるため、治療目的として認められる可能性が高いでしょう。

わきが治療

わきがの症状が著しく、患者の日常生活や人間関係に大きな悪影響を及ぼしていると考えられる場合は、治療に要したコストが控除の対象となる可能性があります。なお、その症状が「患者の日常生活や人間関係に大きな悪影響を及ぼしている」と判断するのは医師。施術を担当する医師が自らの鼻で判断します。

乳癌の影響による乳房再建手術

乳癌が原因で乳房を切除した場合、その再建手術に要した費用は医療費控除の対象となる可能性が高いでしょう。乳房の欠損は女性の精神的健康を著しく害する、と考えられるからです。ただし、控除が認められる可能性がある手術は、昔ながらのバッグ挿入法。最新の治療法によって再建手術を受けた場合には、美容目的も兼ねているとされて控除の対象外とされる可能性があります。

ホクロやシミ除去の初回治療費

ホクロやシミが皮膚がんである可能性がある場合、初回の治療費に関しては医療費控除の対象となる可能性があります。臨床検査の結果、皮膚がんではないことが判明したならば、その後の治療費については美容目的とされて控除の対象にはなりません。

圧縮術によるニキビ治療

オーソドックスな圧縮術によってニキビを治療した場合には、医療費控除の対象となる可能性があります。フォトフェイシャルなど最新の治療法でニキビを治した場合には、美容目的とされて控除の対象にはならないでしょう。

なお、支払った費用を医療費控除の対象として認めるかどうかについては、明確な基準があるわけではありません。最終的には、所轄の税務署長の判断になります。 医療費控除の対象となるかどうか微妙な案件の場合には、確定申告をする前に税務署に行って相談をしてみると良いでしょう。

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